[I~III] 段階別アメリカ進出成功マニュアル(段階毎に押さえるべきポイントを解説)
海外ビジネス30年超のプロが教える、海外進出で成功するために必ず押さえておくべき必須事項と手順について、実務家・経営者目線から、わかりやすく解説します。
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[I]海外進出に向けた予備検討
最近海外進出をする企業が多い。海外進出に高い関心はあるものの、本当に進出してよいのか、採算がとれるのか、何から手をつければよいか分からない。
漠然とした不安について、その所在を明らかにしましょう。まず最初に、なぜそもそも海外進出をしたいのか、その目的、なぜ差別化できると思うのか、インターネット等で、情報収集や市場調査、事業計画案の策定を行ってみてください。
1.最初に明確にすべき事項(目的の見極めと事業計画案の作成)
何はなくともまず以下の6項目について、一度、しっかりと内部にて検討をすすめてみることが重要です。
- 目的の見極め(そもそもなぜ進出したいのか、その理由、場所、目的、メリット、デメリット)
- 競合他社の状況、差別化できると想定される商品説明
- 事業計画案の作成(できれば3年分)
- 海外進出の決定基準(ゴール)の設定(代理店契約、ECでの進出、子会社設立、工場設立等)
- 論点・課題の棚卸整理(進出の具体化にあたり、ボトルネックとなっていることはあるか)
- 既存ユーザーとの進出に向けての取り決め(契約)が存在する等の確認(生産拠点の場合)
2.国内での予備調査(情報収集・分析)
インターネットやヒアリング等を用いて国内で予備調査を行います。通常、こうした予備調査の段階では、少なくとも以下の項目について情報収集・比較分析を行い検討を進める方法が一般的です。アメリカ進出を検討しており、進出先の候補地となる州が複数ある場合は、この段階で候補地を2~3までに絞り込みましょう。
- 取り巻く環境(政治経済、外資(含む日系)企業に対する政策、連邦・州法規制・税制)
- 市場規模・市場特性
- 流通事情
- 物流事情(特に生産拠点の場合、既存ユーザーとのミルクランの範囲の確認)
- 雇用・労働事情・賃金・労働関係法制
- 住環境等
3.国内での予備調査(アメリカ進出の場合)
日本国内にアメリカ州政府協会に加盟している州が30近くあり、殆どの駐日事務所は東京に在る為、事前の相談をしましょう。
駐日事務所に関する記事(ご参考)
[II]現地調査(FS)の実施(進出の見極めと検証)
予備調査・情報収集、候補地の絞りこみ等、第1段階は終了。次の段階としては、実際に進出候補地に赴き、現地調査(FS, エフエス。Feasibility Study, フィージビリティ・スタディーの略称)を開始します。
現地には、複数回渡航し、候補地の見極めと検証、国内外の様々なステークホルダーと具合的な条件のすり合わせ、交渉を進めつつ、最終的に海外進出を進めるのか、その場合は、どこを進出先とするのか、組織の意思決定・判断を仰ぐための様々な材料を揃えます。
1.国内での視察・現地調査前の準備
実際の開始にあたっては、渡航先での現地調査・視察・検証等が実りの多いものとなるよう、しっかりとした事前準備が必要。具体的には、少なくとも以下の項目について準備を進めます。
- 渡航の目的と目標達成レベル(今回の渡航で入手した情報で何を達成するのか)の設定
- 渡航先、日程、人数
- 航空チケット・ホテル・レンタカー等の手配
- 訪問先候補のリストアップ、面談の申し入れ、スケジュールの調整
- その他、国内の関係者への事前連絡、近隣の視察可能先、立ち寄り先のリストアップ、事前予約、日程調整等
2.渡航先での視察・現地調査
渡航先での活動は、進出の設定ゴールによって大きく異なります。販売子会社の設立や工場などの生産拠点の設立を目的とした場合は、複数回の渡航による各進出候補先の現地調査・視察・交渉等が必要となります。
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(1)【販売子会社の設立等の場合】
[渡航の目的]
AかB、どちらにするか決定するための渡航(必須)
- A. 間接販売:代理店を経由で販売→会社運営コストは低い、代理店への手数料が発生、製品の競争力の低下、代理店の中での優先販売順位の不透明さが残る
- B. 直接販売:自社の販売ネットワークを構築→会社運営コストは高い(人の雇用、経営管理が複雑になるが自社の戦略に基づいた進め方ができるメリットあり)
現地調査・視察時の主な対応事項
- 潜在顧客の発掘
- 拠点候補地の検証、確定
- 州政府との交渉、現地の会計事務所、弁護士事務所との打ち合わせ
▶アメリカ視察旅行や現地調査で最初に確認すべき7つのポイント
- 既存の取引先、代理店候補との打ち合わせ(契約内容の主なポイント・骨子の事前確認等)
(2)【生産拠点・工場の設立の場合】
[渡航の目的]
【目的その1】進出して設立する気持ちはあるが、本当に進出する価値があるのかの見極めと検証(複数回必須)
【目的その2】いくつか候補地を訪問し調査・交渉を進め、どこが最も最適な進出先かの見極めと検証(複数回必須)
現地調査・視察時の主な対応事項
- 事業計画の策定
- 工場立地の検証
- 既存取引先との交渉
- 物流関連会社との協議
- 現地雇用事情の調査
- 現地会計事務所、弁護士事務所との協議
- 工場立地候補州の州政府との協議
- 工場立地候補地での協力メーカー(事前に潜在協力メーカーのリストアップが必要)に関する調査
- 潜在顧客の発掘+口座開設
[III]進出計画の最終化とプロジェクトの推進
上記の項目の交渉に凡そ目処がついた段階で、本当に海外進出をするのか、組織内にて要否の判断を仰ぎ、最終的に海外進出が決定。
決定後は、具体的な進出先のさらなる情報収集や調査を継続しつつ、進出の具体化に向けた行程表やスケジュールの作成、予算やリソースの確保等を含めた、進出計画の最終化(組織決定)を進めます。進出計画を策定するにあたり、以下の現地での実際の準備については、想定外の事態が起こることが多々あることを考慮し、余裕を持ったスケジュールの作成をお勧めします。
主な現地での対応必須事項(拠点・工場設立の場合)
- 工場用地の契約
- 人員確保、施設、備品関連の契約
- 既存取引先との契約
- 物流関連会社との契約
- 工場の協力メーカーとの契約
▶アメリカ進出に必ず事前にチェックするべき項目(Tire2の部品メーカーの挑戦)
- 州政府との契約書締結(インセンティブ関連)
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