米国進出セミナー(福岡商工会議所)に弊社代表が登壇

アメリカとカナダの雇用に関する相違と留意点

目次

アメリカとカナダの雇用・採用に関するスタンスの相違

アメリカ、カナダの会社経営をしてきた経験上、両国のスタッフの雇用・採用に関するスタンスはかなり異なっており、注意が必要。

基本的な考え方は、アメリカは雇用主を保護、カナダの場合は雇用書の保護をベースに雇用者を保護。従って、一般的にLay-Off(一時解雇)はアメリカにおいては比較的容易にできますが、カナダは、それなりの条件を示し、雇用者が納得しなければLay-Offは難しいと考えてください。

アメリカ、カナダでの従業員への対応の違い

両国で会社の責任者として経営をしてきた経験上、一番困った、或は気を使ったことは従業員への対応でした。

米国は基本的には、会社側の法律で、カナダは従業員側の法律がそれぞれを守ってきた歴史があります。特に、カナダのケベック州は、従業員の保護が強いので用心ください。解雇、Lay-offをする場合は、アメリカ、カナダは同様に、数回の警告状を出し、改善を促し、それでも従業員の意思で改善されなかった場合は基本的には解雇、Lay-offは可能です。例えば、営業であれば、期待している活動を行わない、営業成績が著しく悪い旨の警告書を2-3回行い、その後、改善が出来ないことが明確であれば解雇は両国においてもできますが、その場合の、雇用者の費用負担は両国では違います。アメリカの方が安価で実行できます。いずれのおいても書面で明確な記録を残しておくことが必須です。其の後の従業員からの対応はアメリカはほぼ受け入れる方向ですが、カナダは半分以上が訴訟に持ち込むことが多い。これは上述の根本的な法律が違うところから起因しています。

訴訟の事例

経営者においては、私が経営していた時代よりも、最近は一層にセクハラ、パワハラ等には厳しく法的に規制されていますので、社内的に厳しい規定を設けて、そのようなことが起きないように社員教育、管理は必須です。私がカナダの会社を経営した時、支社長とサービス責任者との関係が悪く、ある時サービス責任者が支社の行事に支社長が彼を誘わなっかたことに関して、パワハラとして会社を訴えました。結果として、裁判では会社が敗訴し、約300万円の支払いが命じられました。日本では考えられないことですが、北米においては常に裁判を起こされる可能性を秘めていることを考えて会社経営が必要です。

雇用契約書の作成は大切、しかし、従業員との会話の方がもっと大切

会社設立時に準備する会社規約、雇用契約書は弁護士とありとあらゆるケースを想定した上で慎重に作成する必要が有ります。まず、訴訟を起こされないこと、最悪、訴訟を起こされたとしても勝訴できるように、会社規約、雇用契約を注意深く作成して下さい。解雇された、Layoffされた従業員は、日常茶飯事のように会社に訴訟を起こします。しかし、驚くべきことではなく、事前の準備をしっかりと行っていれば大丈夫です。

一方で、従業員とのコミュニケーションは常に行い、個々の状況、問題に対して親身に相談にのり一緒に解決していくことも大事です。これは国にかかわらず経営において最も大切なことです。会社の経営において大事なことの一つは、継続的な雇用の確保を忘れてはならないと思います。

従業員とのトラブル、解雇&Layoff、訴訟問題等は不必要に会社の時間、コストを費やします、経営には全くプラスにならないことは明白です。

繰り返しますが、採用前面談での従業員の見極め、継続的な従業員との会話は最も重要です。一方で将来のリスク回避の為には、会社規約、雇用契約書を事前に可能な限りの想定をした上で慎重に作成しましょう。

目次