海外進出 販路拡大

アメリカ進出(販売代理店経由の間接販売、契約書の極意)

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販売代理店契約の入り口

海外ビジネスを進めていると、海外の販売代理店を経由して製品や部品の販売を開始する機会は多くあります。大事なことは、どのような販売代理店とどのような販売代理店契約を結ぶのか。とりわけ、契約までのプロセスや確認すべきポイントを十分に理解した上で進めていくこと。そこで、今回は、アメリカでの販売代理店と契約する際の、プロセス及び留意点についてをご紹介します。

アメリカでの販売代理店と契約する際の最初のステップ

販売代理店経由の間接販売の形でアメリカ進出を進める場合、まず前提として、代理店候補の検索・調査、検証、候補先の絞り込みの実施。その後、絞りこんだ候補先との販売代理店契約の締結に向けてNDA(Non-Disclosure-Agreement 秘密保持契約)を結ぶことが、最初のステップ。

話を進めていく中で、MOU(Memorandum of Understanding,覚書、法的効力は基本的には無い)を交わすのが、次の段階となります。一般的にMOUは、半年から1年という短期間を目処として結び、『MOUの期間終了後には、「条件」が整えば正式な代理店契約に進むか、或いはMOUをただ終結するか、或いはMOUの期間をもう少し延長するのかのいずれかを選べる』といった内容を文書に盛り込むことが大事。そして正式契約に進むための個々の「条件」についても、MOUに併せて明記しておくことが重要です。

MOUに明記すべき条件とは?

「条件」とは、MOUの有効期間内に達成すべき、双方で合意可能な内容のこと。具体的には例えば、①代理店候補が購入する額や数量、②代理店候補のエンドユーザーからの満足レベル、③サービス・メンテ体制の整備レベル、④双方間の日々の意思の疎通・コミュニケーションのレベル等。そして、MOUの有効期間内には代理店候補先に必ず1回は訪問し、会社の実態や組織体制の確認、できれば、さらにその会社の客先(将来共有する会社)も併せて訪問することが大事。その際に一番大事なことは、代理店候補の社長(オーナー)、 担当者との信頼関係の構築を最優先として位置づけ、しっかりとコミュニケーションをとることです。

販売代理店契約の形態(独占と非独占契約)

MOU期間が終了し、候補先との契約を進めるとの判断に至った場合、今度はいよいよ締結へ向けての具体的な協議の開始が始まります。販売代理店契約の形態は、大きく分けて、独占契約と非独占契約に分けられます。

独占契約と非独占契約とは?独占と非独占との違い

独占契約と非独占契約のくくり方には、様々なパターンがあります。各々の違いは下記の通りです。

(1)独占契約について

①販売地域の独占

アメリカの場合、アメリカ全域か地域毎(東部、中西部、南部、西部等)に販売地域を設定。その地域においては、全ての製品を対象とし、唯一の販売代理店として位置付け、他の代理店は参入できない形。

②販売製品の独占

特定の製品だけに限定した独占販売代理店として位置付け、その製品においては、他の代理店には取り扱いできないようにする形。

この場合、特定製品の独占権に加え、地域の限定をさらに加えるパターンも可能。例えば、製品は、A製品に限定、地域はアメリカの東部地区(州を限定する必要が有る)に限定するといった形が可能。

メリットとしては、地域限定、製品限定に関わらず、一社に任せるので、代理店からの購入額等のコミットメントの入手が可能。一方で代理店からにコミットメントを貰う見返りとして、日本サイドも両社が同意した支援、サポート等を提供しなければならないため、双方に責任と義務が生じます。

デメリットとしては、独占権を提供するので、基本的にはその一社に販売を委ねることとなる。一社頼みになり、その他の代理店との比較も含めた検証は解約するまではできない。

(2)非独占契約について

地域および製品の販売について、特定の販売代理店と契約後も他の代理店を後から参入させることができる形。

デメリットとしては、代理店からの購入額等のコミットメントは入手できない。一方で、メリットとしては、数社の代理店を設定し競わせ、実績を十分把握した後で、その中の1社と独占販売契約を結ぶことが可能。この場合の留意点として、契約書の解約の内容に、双方で一定期間(2-6カ月)の事前通知が有れば、無条件に解約できる条項を入れておくことが大事。

独占契約と非独占契約を選択する際の留意・ポイント

代理店契約を進める場合、まず非独占契約の締結をお勧めします。MOUを経て、ある程度の信頼関係が構築でき、種々の条件を全てクリアできたとしても、非独占契約からのスタートがやはりお薦めです。

仮に相手方がどうしても独占契約を強く要望した場合でも、非独占契約をしっかりと主張することが時には大事です。実際の交渉の場面では、非独占契約書の中に期間を限定し、他社と非独占契約は結ばない旨を書き、将来の独占契約の可能性を含ませる内容にすることで相手方も譲歩するケースが多いです。

販売代理店契約を進めることは、現地アメリカにおいて販売を委託し、販売額を増強することがメインの目的ですが、市場からの声、フィードバックを入手して将来の製品企画、製品改善のヒントに繋げることも目的の一つとなります。常に代理店経由での市場の声だけでなく、直接入手できることも可能にすることを契約書の中に含めることも大事です。

代理店契約を結んだので、全て任せておけば大丈夫といった待ちの姿勢の場合、期待するような成果を得ることはほぼ稀。定期的に現地の代理店を訪問し、肌で代理店の動き、盛況感、財務状況を理解し、正確に把握すること。且つ、代理店が日本サイドを訪問するように常に促していくことも大事です。双方向交信、双方向訪問の継続が、結果的には、成功への近道となるケースが多いです。

代理店契約書作成、及び締結のプロセス

最後に、代理店契約書の作成、及び締結のプロセスに関して説明します。基本的には英文での代理店契約書になり、日本サイドで主体的に英文の代理店契約書を提供できる以外は、アメリカの代理店候補から送られてくる契約書ドラフトからのスタートとなることが多いです。

一般的に契約書ドラフトは、契約期間が2年の場合は2年後に自動更新とするといった条項が入っているのが標準的。ここは、そのままにせず、必ず自動更新ではなく、契約書の期間満了の3カ月前に、契約期間の双方の責任の遂行レベル(購入額も含む)の確認、次の契約期間の数値目標、行動計画を協議したうえで、契約書の改定を行う旨を明記することが最も重要です。

契約時点で注意すべき事項

その他、契約書において注意しなければならない点は、①独占、非独占の確認、②独占の場合の地域限定、製品限定の確認、③契約書の有効期間、④製品保証期間及びその期間での不具合品の扱い方、⑤独占の場合の購入額、数のコミットメント数値、⑥契約解約の条件、⑦契約書更新の手続き、⑧添付資料の確認、例えば、価格表、部品表、製品保証条件等があげられます。実際に契約締結する前には、アメリカの弁護士或いはそれに準ずる専門家に相談し、契約書の内容をしっかりと慎重に確認しつつ進めていかれることをお勧めします。

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