米国進出セミナー(福岡商工会議所)に弊社代表が登壇

アメリカ進出前に必ずチェックするべき項目(Tier2の部品メーカーの挑戦)

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日系自動車関連会社の立ち上げ時

今回は部品メーカー、特に自動車関連の部品メーカーのアメリカ進出において必ず押さえるべきポイントを中心に述べていきます。

日系自動車メーカーは、アメリカに既に20工場以上の生産設備を持ち、Tier1及びTier2の部品メーカーも多くがアメリカ進出を果たし現地で生産を行っています。アメリカへは他国の自動車メーカーに先んじて、貿易摩擦が有ったものの、進出を短期間に推進。今では日系であるものの、アメリカ企業として認知され、多くのアメリカ労働者を雇用し、日本経済だけでなく、アメリカの経済にもなくてはならない企業群になっているのではないでしょうか。

今後の日系自動車部品メーカー(Tier1)の行く先①

しかしながら、トランプ政権前でも、日系自動車会社に対して現地での部品調達率の向上は度々要望がなされてきました。このため、Tier1の部品メーカーとしても、選択肢はなく、必然的にアメリカに進出し部品を現地にて製造し自動車メーカーへ供給する体制を現地で拡充してきた経緯があります。殆どの主要なTier1部品メーカー(例えば、日本電装、小糸製作所等)が2000年前後から現地生産体制を整備、現地にて部品供給を開始。その後、アメリカ政府は日系自動車メーカーに対してTier1が製造する部品の構成部品の現地調達率の向上についても要望。結果、2005-2010年頃には、今度はTier2の部品メーカーも進出。アメリカ現地で材料を調達、加工を行いTier1へ供給する体制に多くが移行。当時は、Tier1がTier2に進出を打診、且つ発注保証、経営保証もある程度は表明したうえで進出するケースが多く見られました。

日系自動車部品メーカー(Tier1)の行く先②

一方で、アメリカに進出済の欧州、中国、韓国のTier2 部品メーカーは、急速に技術力、コスト競争力を向上。Tier1メーカーは日系Tier2にアメリカ進出を依頼したい気持ちは有るものの、上述の競合Tier2と比較して、技術面、コスト面は最低限同等あるいは、それ以上でないと採用ができない環境にあるのが現実。過去のように、発注、経営を保証し、Tier1が進出依頼をする状況から、できれば進出してほしいが、最低限の技術面、コスト面を確保したうえで進出してもらえれば発注は多分できるというあいまいな内容に変わらざるを得ない状況に変化。

一方で、進出しない場合、現地のTier2への発注に切り替えられてしまうリスクは年々増加。日系Tier2メーカーとしては、アメリカ進出を進めなければ、今まで受注してきたビジネスが消滅する懸念が高まる一途。

リスク回避のポイント

リスク回避においては、Tier1に全面的に頼ることなく進めていくことが大事。其の上で、最低限するべきことを下記に列記します。

①既存客先(Tier1)と協議の上で確かな発注の意思、品質・価格レベル及びできれば向こう三か年のビジネスプランの入手。

②既存客先のミルクラン(物流範囲)の確認することにより進出地域が決まります。

③上記①に基づいた品質・コストレベルを確保する為の協力メーカーの探索と協議(溶接、メッキ、塗装、表面処理等、材料品質)。

④既存客先以外の潜在顧客の探索、協議(中長期的な経営安定の為)。

上記①②は困難ではないと思いますが、上記③④はとても重要で時間を要するので、早いうちに行動を始めるのが肝要です。

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