アメリカの赤字会社の経営改善による黒字化と健全経営の継続化【海外ビジネス事例③】

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海外子会社の財務分析による実態把握と組織再編による経営健全化

海外進出先での経営改善の方法に関しては色々な形が有ります。今回は、アメリカの赤字子会社の経営改善による黒字化事例をご紹介します。

日本の販売子会社がアメリカにあり、売上高は20億円以上毎年計上していたにもかかわらず、多くの赤字を出し続けていました。本社と3支店、4営業所を有していて、主な利益源は流通機器の販売、サービス業務、そして消耗品の販売でした。総従業員は100名前後で、サービス要員が60名が在籍をしていました。日本人スタッフは居なくて、すべてを現地スタッフに任せていました。

財務分析(売上、利益率)による赤字の原因(問題の所在)の特定

私はその会社の依頼を受け、実際にはどのような経営を行っているのか、まずは現地にて経理的な数値から分析に入りました。調査の結果、一言で言うと、売上高、利益率は適正であるにもかかわらず、膨大に無駄な経費を使っていたことが大きな赤字の原因。高額な事務所費用、現地社長を含めた管理職スタッフの贅沢すぎる報酬、不必要に購入した膨大な在庫の山等でした。

経営改革・組織再編の断行による黒字転換

数名の幹部社員、Keyとなる人物以外の殆どの幹部社員は退社してもらうこととなりました。一部の社員から訴訟を起こされる等もありましたが、最終的には裁判で決着。一連の経営改革の断行の結果、2年目には黒字転換を達成、健全な会社に生まれ変わりました。

本来であれば、販売子会社は非常に黒字基調にするのは困難で、高付加価値製品でなければお勧めはできませんが、この会社は既に多くの投資をし、一方でサービスネットワークも充実しており、消耗品からの売上が多く見込めることから改善は可能と判断しました。

事例にみる海外拠点における持続的な健全経営の鍵

教訓としては①現地子会社において現地スタッフに任せることは間違いではありませんが、財務関係を監督する日本からのスタッフは必ず常駐させることが必要です。②現地に任せることは全てを任せることではなく、日本に承認を貰う内容を明確にしたうえで任せることが重要です。③定期的に①の常駐スタッフが、現地でのオペレーション、現地のスタッフの聞き取り調査を実施し、改善項目を見極めることが必要です。④日本側の動きとしては、毎月の報告により少しの経理的数値において問題がありそうな状況であれば即座に関係部署等のスタッフが現地に赴き疑問を払拭することが必要です。言い換えれば、問題を継続、悪化させないことです。

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