アメリカでの組織再編による経営改善(業容拡大、子会社合併・本社州間移転(インターステート)、営業網の効率化)【海外ビジネス事例②】

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アメリカ子会社の業績不振からの脱却

海外進出先での経営改善の方法に関しては色々な形が有ります。今回は、私が過去に現法社長として経験した実際のケースをベースとしたアメリカの二つの子会社の合併による経営改善の成功事例をご紹介します。

アメリカ内の子会社合併による健全経営化

アメリカのマサチューセッツ州ボストン郊外の日本の子会社を経営していた時期、別の子会社がニュージャージー州リンカンパークに在りました。ボストンの会社が工業系の機器、NJの会社は流通系機器を扱っていました。不幸にも両社とも健全経営ではありませんでした、この状況を打破するためには、両子会社の合併が不可欠でした、しかしながら、ボストンの会社は従業員10名、NJの会社は20名で、本社はそれぞれMAボストン、NJリンカンパークにあり、且つ 両社の支店は、それぞれアトランタ・サンフランシスコ、ロスアンゼルスに在り、改革の形をまとめることが非常に難しい状況にありました。

合併手法を用いた組織再編(アメリカ内における会社・支店ネットワークの再構築)

日本の本社から、私が案を練り、2社を合併することを進めるように指示がありました。一番苦慮したのは、従業員30名の処遇です。間違いなく、30名も必要なく、本社を一か所にし、支店縮小、人員縮小を断行することが最低条件で、且つ、売上高、客先への影響を最小限にすることが命題でした。

私は30名の全ての従業員と面談を実施し、その中で、営業、サービス、経理、総務のKey人物を設定し、彼らと会社改革チームを立ち上げ協力し変革を進めていきました。最終の形としては、従業員は15名、本社をサンフランシコに移動し、アトランタ、とNJには支店を設け、その結果、経費は半分に低減し、売上高は10%の低減に抑えることができました。

事例にみる経営健全化成功の鍵

これは、すべての従業員と真剣に話をし、解雇においても手厚く進めることがまず大事です、アメリカの場合は正式な退職金は有りませんが、勤務年数により額を設定し、有給、SIck Day(病気の場合に使用できる有給です)の買取をし、且つ、今後の就職活動がスムーズに行えるように推薦状を提供しました、一方で改革チームが一丸になり、既存の客先回りを手分けし、短期間で実行、且つ、変更の経緯、今後の対応等に関して丁寧説明し、理解を得ることができました。残ったスタッフで同じ目的を共有でき、将来の利益に対してインセンティブプランをスタッフ一同で設定し、一丸となって動いたことが合併の成功につながったと考えています、一人では何もできませんし、できるだけ現地のスタッフと協議をし、且つ積極的に任せ、最終的には自分が責任をとる姿勢を強く示すことで更なる信頼関係を構築でき改革の成功に結び付けることができたと思います。

本来、社長は会社が順調に経営されている場合は、全てを従業員にDiscloseする必要はないと思いますが、非常事態であり、不信感を持ている既存スタッフに安心感を与えることが重要であると判断し、上記のような手法を取りました。

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