アメリカの鶏肉加工工場へ販路拡大に向けた挑戦
長年、食品関連の機器をアメリカへ展開してきた経験に基づいて、今回は私が経験した鶏肉の加工工場で使用される機器を事例として、どのようにマーケティングから開始し、実際に渡航し、市場調査等を経て現地の客先で使用されBest Sellerになるまでのプロセスをご紹介しまししょう。
市場調査の入り口
日本市場で喜んで使って頂いていた「鶏肉仕分け後、少量を個別に計量測定する機器」をアメリカ市場へ展開する為、現地の代理店にサンプルを送り現地で今後販売したい旨を通知。
返事を待っていると下記のような回答が送られてきました。
① 計量を表示する画面が小さい
② 材質はステンレスでOKであるが、ステンレスの厚みが薄い
③ 防水レベルが安心できない
④ Push KeyのKeyの大きさが小さい、その材質が弱い
日本では問題なく使用されているヒット商品なので自信を持っていましたが、「根本的に製品企画から見直す必要が有る」との先方からのコメント。
現地で実際に使用されている環境も含めて確認しなければ納得できないばかりか、開発技術者へ自信を持って説明できるものではありませんでした。
実際の市場調査
アメリカにおいて第三番目の規模を持つPerdue Farms(ブロイラー)を訪問。工場の広さに、加工プロセスにいる労働者の数に驚きました、労働者を見ると色々な人種が一生懸命作業をしていました。
[st-minihukidashi fontawesome=”fa-user” fontsize=”” fontweight=”” bgcolor=”#f3f3f3″ color=”#000000″ margin=”0 0 20px 0″]工場長にまず全体のオペレーションについて聞いてみました。[/st-minihukidashi]
1)労働者の賃金→ 固定給は低く、処理量に関してインセンティブを提供している
2)オペレーションは3交代制で、その間に清掃作業があり、高圧の洗浄機で床、テーブル、機器を洗浄する
[st-minihukidashi fontawesome=”fa-user” fontsize=”” fontweight=”” bgcolor=”#f3f3f3″ color=”#000000″ margin=”0 0 20px 0″]其の上で、代理店からのコメントに関しては次の答えが返ってきました。[/st-minihukidashi]
- 表示画面が小さい→ 如何に労働者が処理量を上げるか重要で、表示が大きい方が次のアクションが早くなる→ 必要
- ステンレスの厚み→ 労働者の機器の扱いは荒っぽく、且つ、高圧洗浄に耐えることが必須→ 必要
- 防水レベルを向上させる → 高圧洗浄機を使用する→ 必要
- Push Keyが小さい、材質が弱い → 労働者の指の非常に大きく、現状では正確にPushできない、労働者は効率を重視してナイフで鶏肉をさばくと同時に、ナイフでKeyをPushするケースが多く、現状にKeyの材質では破けてします→ 必要
実際に現地に訪問した結果、日本では予想がつかなかったことが、現場のオペレーションを見ることにより、代理店のコメントが客先の要望を反映していたものであったと判明。
帰国後、即座に客先の要望に対応。その後、最終的にその装置はBest Sellerとなりました。
市場調査から教訓
日本市場で通用されている製品がそのまま受け入れられるケースは非常に少なく、如何に現地の要望を取り入れて製品作りをするかが大きな成功のカギとなります。
其の為には、代理店経由ではなく自分の目で見て、自分の耳で使用者の意見を聞くことが大切です。
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ブロイラーは、出荷サイクルを早めるためにアメリカで開発された。日本では第二次世界大戦後から飼育が始まり、今現在も生産されているが、輸入に頼る部分も多い。世界の主な生産国はブラジルや中国、タイ、アメリカなどである。国内では、鹿児島県、宮崎県、岩手県が3大生産地である短期生産を目的として作られた鶏の品種である。そもそも、ブロイラーは「若鶏」と表現されることもある。通常の鶏が成鶏となるのに必要な期間は4~5ヶ月だが、ブロイラーの場合は40~50日。2ヶ月もかからず成鶏となるのである。日本で食べられる鶏肉のほとんどがブロイラーであると述べたが、日本国内のみで年間6億羽ものブロイラーが出荷されている、ブロイラーの肉は柔らかく、食べやすいため様々な料理に適す。しかし、大きな鶏舎の中ですし詰め状態で飼育されることによるストレスやホルモン剤などの影響により、品質や味は劣るという声もある。
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