今回の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響でフライトが欠航になり、海外行きの発券済みの航空券をキャンセルせざるを得なくなった方が日本にもかなりいらっしゃるかと思います。
通常、LCCなどを除いた各航空会社は、フライトが欠航になった場合は基本的には「現金で全額返金」という対応を取っているのですが、今回のコロナウイルス関連の欠航に関しては航空会社によって扱いがまちまちで、またその対応も状況次第で常にアップデートされている現状です。
今回のコロナウイルス関連における航空券のキャンセル時の対応は、主に以下の2つに分かれます。
1.現金にて全額返金
通常通りの航空会社の取り扱いです。日本の航空会社(日本航空、全日空など)はこれに当たります。もちろんこれが消費者にとっては一番負担が少ない対応です。
2.EMDにて対応
日本の航空会社以外のほとんどは、キャンセルによる現金での返金についてはかなり渋い状況です。
「EMD」(電子証票、Electronic Miscellaneous Documentの略)と呼ばれるクーポンのようなものを代わりに発行し、それを使って1年以内の自社便購入に充てていただく、という対応を取っているケースが多くなっています。
もちろんEMDで他航空会社便(提携航空会社便は可能な場合あり)を使用することも、他人へ権利を譲渡することも出来ませんので、実質その航空会社による囲い込みということになります。
●EMDのポイント
A. EMDは「発行から」1年間有効というケースがほとんどです。この「発行から」というのが落とし穴で、EMD発行依頼を行っても現在はすぐには航空会社はEMDを発行してくれません。コロナウイルス対応で世界中で同じ作業が航空会社に対して行われている上、各航空会社が端末からの自動手続きを停止し「RAN(Refund Application Noticeの略)申請」と呼ばれる個別の手続きでの対応がほとんどとなっている現状、EMD発行までもかなり時間がかかっているのが実態となっています。
※参考:「トラベルビジョン」の3月25日付けの記事
http://www.travelvision.jp/news/detail.php?id=88434
B. EMDを未使用のまま有効期限の1年を過ぎた場合は、返金手続きとなる航空会社がほとんどです。そのため、現金での返金を希望する場合は、EMD申請をして1年半ほど経過してからようやく現金が手元に戻ってくるという流れとなります。
各航空会社がコロナウイルスの影響で経営面に大きな影を落としている現状は良く理解できますが、旅行会社の立場として、航空会社による上記のEMD対応は消費者や旅行会社に対して負担を強いている方法のためかなり疑問に感じざるを得ません。
日本航空や全日空などのように、他の航空会社も「シンプルに全額返金」で対応することを願うばかりです。